「モアイさんに一目惚れ!」 (イースター島・チリ)
6月13日 さあ、イチ、ニッ、サン、は~るばる来たぜ、イースター島!!
スモッグのサンチャゴから、雲の上を旅すること6時間、
地球上で「一番さみしい」といわれる島にやってきた。
素朴な島の空港はポリネシア人だらけ、気分はたちまちトロピカル!
ミニ・モアイさんだらけのホテルで、わくわく眠りに。
明日はモアイさんに会えるっ!!!
6月14日 島の中は、モアイさんだらけ!
車をレンタルして、一日中、モアイ三昧だ。 シアワセ!
6月15日 いまだ興奮さめやらず、、、、。
こうなったら、モアイさんのそばで寝泊りしたい!!
っと思ったら、偶然、海辺のモアイさんを見下ろせる
キャビン式のホテルを発見、さっそく移動。
この村はすれの、看板すら出てないホテル。
波の音を聞きながら、部屋からモアイさんの向こうに
落ちる夕日が見れる。
(1泊朝食付きで30ドルという安さ!)
夕日のライトショーの後、三日月と金星がくっつきあう。
まるでパキスタンの国旗みたい。
今夜は、UFOでも現れないかなあ!
6月16日 普通みんなが車でツアーするラノケア火山の火口湖に、
がんばって歩いて登った。こんな不思議な火口湖は見たことがない。
湖といっても、青く輝く、くねくねとした小さな池。
これは、まるで池で作った世界地図。
池の周りには、あのチチカカ湖にもあるトトラ葦が群生。
「魅せられて、、、」とはこのことだ。
下山中に見た水平線に落ちる夕日も、目と魂へのご馳走だ!
6月17日 この旅で初めてちゃんとした雨が降った。
ぬかるみの中、伊勢海老食べたいばっかりに、海辺のレストランへ。
メニューの「サチミ」を頼むと、どっでーん!とマグロの刺身が。
キッコーマンの醤油と、S&Bの生ねりわさび付き。
巨大伊勢海老は、足の先まで身がびっしりで、幸せ絶頂。
6月18日 島のバンドのコンサートがある、という。
コナコア・レストランはがらがらで、待てど暮らせど音楽は始まらない。
夜中の12時半ころ、やっとバンドの連中が楽器を運び込み始めた。
だるいバンドを聞いたあとは、村はずれのディスコテックに。
予想した通り、壁には、蛍光塗料で描かれたモアイさんだらけ。
うーん、この旅情が、たっまんない!!
6月19日 朝食の時、ポリネシアンの家族が隣のテーブルに。
その中の長老が、ラパヌイ(イースター島のことを先住民はこう呼ぶ)
の音楽のドン、パパキコだった。
今日はなんとパパキコの誕生日、村をあげてのお祝い祭りだそう。
そんな伝説のお方に、こんなふうに会えるなんて、ラッキー!
南半球を旅する特典は、南十字星。
夜空にキラキラとウィンクする南十字星、
ひとりで見ても、ロマンチック!?
6月20日 今日は日曜日、島でただ一つの教会に。
十字架のキリストでさえ、モアイさんのような顔。
クリスチャンになった島民の讃美歌を聞きながら、
この島の過去に思いを馳せる。
昔々、タヒチの方から航海してきた先住民は、
モアイさんの目に宿るマナ(神通力)を信じて、
600体もの巨大石造物を作った。
ところが、小さな島の人口が増え、部族間の戦いが始まり、
新興勢力である戦士階級は、モアイ倒しを始めた。
彼らは毎年、一番先に軍艦鳥の卵を捕って、サメの海を泳ぎ
渡った者が神になる、鳥人信仰を始めた。
その後、西洋人が島を発見!し、島民を奴隷として拉致した。
一時は人口が、100人にまで減ったそうだ。
それは、地球の歴史のミニチュア版。
南洋の調べにも似た讃美歌は、楽園的でもあり、
もの悲しくもあった。
6月21日 島の最南端の絶壁の上、
鳥人信仰の神殿のつらなる、オロンゴに登ってきた。
人一人が這ってようやく入れる石を積んだ家々は、
無言のまま、風の音楽を奏でていた。
海と空との境目に天国がある、と人は言うそうだ。
僕の体の中にも風が吹きぬけ、
ふと自分が透明になったような錯覚を持った。
軍艦鳥の飛来する3つの小島は、まるでパラダイスに
そびえたつ奇岩城のよう。
生きているうちにここに来れて、本当によかった!。
6月22日 旅行会社の人から「えっ、イースター島に10日間もいるんですか?
そんなにいたら、帰るころには独り言ばっかり言ってますよ」とからかわれた。
そんな孤独な島も、あっというまに最終日がきた。
島中のモアイさんたちにお別れするために、ジープをまた借りた。
小雨に煙る幻想的な1日。
「モアイさんに虹がかかればいいのになあ」と思ったら、
たちまち美しい虹がかかった。
島の北側のさみしい浜辺に、慎重10メートル,体重80トンの
史上最大のモアイさんがうつむきに倒れていた。
波打ち際に、「光る地球のおへそ」と呼ばれる、まん丸い不思議な石があった。
てかてかすべすべの丸石そのものに磁場があり、磁石のコンパスを近づけると、
ぐるぐると針が回るそうだ。
ここも、エネルギーが渦をまくパワースポットなのだろう。
6月23日 村の銀座通りにも、島民がぱっかぱっか馬に乗って駈け去る島。
泥道を歩いていると、こんなただの旅行者のぼくにさえ、老いも若きも、
「オラッ(こんにちわ)」と微笑みかける島。
村中、どこまでタクシーに乗っても2ドルしか取らない島。
島中に咲き乱れる美しい花々に、モアイさんと同じ位、見惚れた島。
さよなら、ラパヌイ、バイバイ、イースター島。
今回の人生の3千分の一を、ここですごせて、ありがとう。